KOHEI TAKAHASHI

WORK

畏敬のかたち、或いは喚起の振る舞い

京都市京セラ美術館開館1周年記念展 『コレクションとの対話-6つの部屋』のために制作された映像及び音声による3つの作品。

『コレクションとの対話-6つの部屋』は、ジャンルや時代を超えたスペシャリストが異なるアプローチでコレクションと“対話”し、 作品にまつわる秘められた歴史や物語を引き出す展覧会である。 本展の展示構成は6室からなるが、髙橋は最後の部屋に位置し、井田照一(1941-2006)、木村秀樹(1948-)の作品を取り上げ、自身の3つの作品と合わせて構成している。

1つ目の作品は、作家本人による音声作品《畏敬のかたち、或いは喚起の振る舞い-1》。 本作は収蔵作品:3864点全ての作品番号、作者名、作品名、制作年、収蔵年、購入か寄贈かについてを、作家の声で読み上げた19時間57分54秒の音声が、 空の展示ケースから流れ出るものである。

2つ目の作品は、井田照一、木村秀樹に挟まれるかたちで自立するスクリーンに投影された映像作品《畏敬のかたち、或いは喚起の振る舞い-2》。 本作は、京都市京セラ美術館に中でもスポットの当たりにくいコレクションとしての「版画」に着目したものである。 全版画作品606点の作品タイトルを京都市内のパブリックスペースに書く(描く)パフォーマンスの様子を収録した7時間8分49秒の映像である。 またスクリーンへの映像投影方法は、井田照一と木村秀樹が作品制作を通して実践してきた現代版画の概念を具現化した形である。 井田・木村の作品の間に極薄のスクリーンが自立し、映像イメージを裏表両面から眺めることを目論む構成は、
裏から見る際にはパフォーマンスの行為性が、表から見る際には書き記されたタイトルの意味性が前傾化する。

3つ目の作品《畏敬のかたち、或いは喚起の振る舞い-2》は、2つ目の作品と緩やかに連携する。
全版画作品606点の作品タイトルを微細な声で作者自身が発話し、それを録音した音声が、壁に設置された厚みのあるパネルから再生される。

髙橋耕平《畏敬のかたち、或いは喚起の振る舞い-1》2021年|モノラル音声(19時間57分54秒),ポリエステル,木,他|サイズ可変

 

髙橋耕平《畏敬のかたち、或いは喚起の振る舞い-2》2021年|HD VIDEO(7時間8分49秒)リア透過スクリーン、鉄、アルミ、他|2400×3600mm

 

髙橋耕平《畏敬のかたち、或いは喚起の振る舞い-3》2021年|モノラル音声(1時間30分7秒)、ポリエステル、木、他|サイズ可変

 

左:木村秀樹《Pencil 2-5》1974年|シルクスクリーン、方眼紙、額|728×103mm|京都市美術館蔵
右:木村秀樹《Pencil 2-3》1974年|シルクスクリーン、方眼紙、額|728×103mm|京都市美術館蔵

 

左:井田照一《Series-In frontof, In back of-“Stone on Paper”》1975年|リトグラフ(両面刷り)、トレーシングペーパー|900×640mm|京都市美術館蔵 中:井田照一《Surface is the Between – Between Vertical and Horizo-“For Stone and Paper”》1976年|リトグラフ、紙|895×640mm|京都市美術館蔵 右:井田照一《Surface is the Between – Between Vertical and Horizo-“Stone, Paper and Stone”》1976年|リトグラフ、紙|945×630mm|京都市美術館蔵

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